先日以下の記事を書きました。
スマホ時間を減らすための一つの手段として、LINEニュースを簡単には見ることができないようにした(LINEの「ニュース」タブを非表示にした)のですが、結果として僕はニュースをまったく見なくなりました。
もともとテレビは持っていませんし、新聞も読んでいません。定期購読している情報誌もありません。パソコンでニュースを見る習慣もないので、スマホでニュースを見なくなったことで、まったくニュースにアクセスすることがなくなったのです。
ニュースを見なくなって、どうなったのか?
結論から言うと良いことずくめでした。
ニュースを見る目的って何なんだろう?
ニュースを見ないメリットをお伝えする前に、一度考えてみてもらいたいことがあります。
ニュースを普段から見ているとしたら、なぜ見ているのでしょうか?
この問いに対する答えが明確であれば、そしてニュースが自分の人生に意味があるのであれば、ニュースは見るべきだと思います。
冒頭でLINEニュースを見ないようにしたと書きましたが、同じ頃にこちらの本を読みました。
この本の中で、次の一文があります。
ニュースのおかげで、私は世界をもっとよく理解できるようになっただろうか?良い決断ができるようになっただろうか?
もしこの問いに自信を持ってYESと言えないのであれば、ニュース断ちによってメリットを得ることができます。
多くの人にとって、なぜニュースを見るのかと聞かれれば「なんとなく気になるから」ではないでしょうか。少なくとも僕はそうでした。
「なんとなく気になる」だけのニュースをお金を払ってまで読みたいかというと、そんなことはないはずです。新聞や雑誌の発行部数が軒並み減っていることからも、それは明らかです。
つまりニュースは、人によってはどうしても必要なものではないんですね。
それどころか、ニュースは見ない方がいいとさえ思っています。
ニュースを見ないことによる唯一のデメリット
ニュース断ちするメリットをお伝えする前に、ひとつだけデメリットをお伝えしておきます。
それは「ニュースを見ないようにしている」と人に話すと、変な目で見られることがあることです(笑)。
「世の中の出来事に関心がないのか(けしからん)」とか(直接言われなくても感じ取れてしまったり)、ときには「(世の中の動きに付いていかなくて)大丈夫なの?」と心配されることも。
こうしたメッセージは「ニュースは見た方がいいし見るべきものだ」という考えから発せられるものでしょう。
ニュースを見なくなって思ったのは、「ニュースを見ない=世の中に関心がない」ではないですし、「ニュースを見ない=世の中の動きに付いていけない」でもない、ということ。
「関心がないのか」については、先に紹介した『News Diet』に「真に「関心を持つ」ということは、「行動を起こす」ということ」と書いてあるとおり、「ニュースを見ること=関心を持つこと」ではないです。
ニュースを見るだけで行動しないなら、メディアの運営者に利益がもたらされるだけで、世の中は何も変わりません。
それから「世の中の動きに付いていけない」ということについても、メディアが扱うニュースで世の中の動きを全て把握できるわけではないので、ニュースをみて世の中を知った気になってしまう方が危険です。
ですので、もし「なぜニュースを見ないのか」と詰問されるようなことがあれば、ここに書いてあることを反芻しつつ、適当に流してください。
きちんと説明して聞いてくればいいですが、だいたい詰問してくるような人は自分の常識を疑いません。
ニュースを見ないことによるメリット
ということで、ここからはニュース断ちによるメリットについて解説します。
メリット1:ストレスが減る
ニュースはネガティブな情報で溢れています。
そうしたネガティブな情報から遠ざかるだけで、日々のストレスは激減します。
なぜニュースがネガティブな情報で溢れているのかというと、ニュースの提供者が意図的にネガティブな情報を発信しているからです(※)。
なぜニュースの提供者は意図的にネガティブな情報を発信しているのか?
それは人間が、良いことよりも悪いことの方が重要だと感じるという生き物だからです。このことは人間が動物としての進化の過程で培った性質で、心理学では「ネガティビティ・バイアス」と言われています。
この「ネガティビティ・バイアス」によって、危険を察知し回避し生存可能性を高めてきたんですね。
この狩猟採集していたころからの人間の性質は、今でも残っています。たとえば「誰かがどこどこに寄附をした」というポジティブなニュースよりも、犯罪や不法行為のニュースの方が生きる上で重要だと判断され、読まれることになります。
ニュースの提供者からしてみたら、読まれるニュースを提供するに決まっています。結果としてニュースはネガティブな情報で溢れることになる。
ネガティブな情報で溢れたニュースに触れると、人間は「交感神経」が過敏になり、ストレスホルモンである「コルチゾール」を放出します。
このコルチゾールというのは
コルチゾールは、副腎皮質から分泌されるホルモンの一種です。
心身がストレスを受けると、急激に分泌が増えることから、「ストレスホルモン」とも呼ばれています。コルチゾールの分泌過多は、ストレスから身を守ろうとして起きる現象です。瞬間的な量の増加に問題はありませんが、長期的なストレスにさらされることで、脳の海馬を委縮させることが分かっています。
医療法人 全人会 小西統合医療内科
つまりニュースを見なくなるとストレスが減り、コルチゾールの分泌量が抑えられ、身体も脳も健康になるということです。
(※)ニュースはネガティブな情報で溢れていますが、実際の世の中がネガティブな事ばかりで溢れているのかというと、そんなことはありません。
実際の世の中は「どんどん良くなって」いるんです。
この本から以下の一文を引用します。
いま起きている悪い出来事に人々の目を絶え間なく惹きつけるのがニュースというものだが、悪い出来事ばかり目にしていれば、誰でも悲観的になる。加えて、思い出や歴史は美化されやすい。だからみんな、1年前にも、5年前にも、50年前にも、いま以上に悪い出来事が起きたこと忘れてしまう。
FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣:第2章 ネガティブ本能
「世界はどんどん悪くなっている」と考えれば不安になり、希望も失いがちになる。でも、それは思い込みに過ぎない。
メリット2:人と自分に優しくなれる
メリット1で書いたとおり、ニュースはネガティブな情報で溢れています。
ニュースを見ていれば、他人の欠点や過ちをわざわざ取り上げている内容のものが多いです。たとえば「女優の不倫騒動」「なんちゃら協会の不祥事」「著名人の謝罪」など。
そんな情報ばかりに触れ、人のマイナス部分ばかりに目をやっていたら、日常生活でも他人の欠点が目立って見えてしまいます。
そして「けしからん!!」などと腹を立て、無駄に感情をアップダウンさせることになる。
さらには他人の欠点や過ちを厳しく見る分、自分も失敗をするわけにはいかなくなり、自分の行動も制限されてしまいます。
何もいいことはないです。
ネガティブな情報から離れてストレスが減ると、気持ちが穏やかになります。気持ちが穏やかで感情が一定だと、人に優しくなれます。
押しつけられたネガティブなものの見方から、次第に距離を取れるようになります。人も物事も、悪い面だけでなく良い面もあることを思い出してきます。
人間の行動には、悪い側面もあれば良い側面だってあるんです。あなたにも僕にも。
メリット3:主体的になれる
ニュースで知るほとんどのことが、自分にはどうしようもないことです。
芸能人の不倫問題はもちろん、北朝鮮のミサイル問題や発展途上国の貧困問題、そして環境問題などなど。
「どうしようもないからって知らなくていいのか?」という声が聞こえてきそうですが、知ったところで行動しなければ何も変わらないのは前述の通り。
自分ではどうしようもないネガティブ情報を受動的に消費していると、ストレスがたまり心身に支障をきたします。
「何をやっても無駄」「意味がない」という感覚すら持つようになります。
これは「学習性無力感」というものです。
学習性無力感とは、長期にわたってストレスの回避困難な環境に置かれた人や動物は、その状況から逃れようとする努力すら行わなくなるという現象である。
Wikipedia
「学習性無力感」を抱くようになると、その情報が正しいのかどうか判断する力や考える力が落ちていきます。そしてニュースを見ているときだけでなく、日常生活に対して受身の姿勢を取るようになります。
これがひどくなると、人生を楽しめなくなったりさらにはうつ病になったりします。
もし今なんらかの無力感にさいなまれているとしたら、まずはニュース断ちをして、ニュースによる「学習性無力感」から早く解放されてください。
無力感から解放されるにつれ、考える力や判断する力、行動する意欲が戻ってきます。自分は無力じゃないと思い始め、失われていた主体性も回復してきます。
そうすれば、自然と自分が影響を及ぼせる範囲で行動できるようになります。
主体的に行動すれば少なからず何かが変わります。
メリット4:物事を深く知ることができる
前述の通り、メディアは世の中で起きている全てのことをニュースにして発信しているわけではありません(そんなこと到底できない)。
メディアが扱う情報はそのメディアが扱いたい情報であり、かつ読まれる情報です。メディアがフィルターをかけているんです。
そしてその情報には、当然ながらメディアの解釈が付随します。同じ情報でもメディアによって意見が違いますよね。
また起きていることの因果関係を詳しく説明はしてくれません。読者の多くはテーマを深く掘り下げた1本の記事よりも、簡単に消費できるニュース10本を好むからです。
なぜ簡単に消費できるニュースを好むかというと、メディアが提供するニュースを読む人は「学習性無力感」をもっていて、深く考える力が衰え意欲が少ない人が多く、小難しい情報が処理できないからです。
つまり、メディアが提供するニュースは「断片的」で「解釈が偏っていて」、「前後関係がない」んです。
もっと言うと、ニュースは「断片的で解釈が偏った簡単に消費できる情報」と、「学習性無力感」と「ストレス」をくれるだけなんです。
冒頭で紹介した『News Diet』から再び引用します。
簡単に消費できる情報を消費してばかりいると前帯状皮質の脳細胞が少なくなる
前帯状皮質とは注意力や論理的な思考などを司る部位です。
つまり、ニュースを消費すればするほど、短い情報にざっと目を通すための脳の領域が鍛えられる一方、その代償として長い文章を理解し深い思考を司る領域(前帯状皮質)は退化してしまいます。
少なくとも僕は、自分にとって直接関係がない情報を広く浅く消費するより、自分の人生に直接関係があり興味がある情報を深く知る方が有意義だと思っています。
もし僕と同意見であるならば、まずニュース断ちをして、そして自分の興味関心があることだけを自分で知るようにしてください。
やってみるとすぐに分かりますが、情報を自分で取りに行くことは想像以上にアタマを使います。
当然ながらインターネットには根拠のない情報と信頼できる情報が混在しています。それらをどう取捨選択して判断するかも必要な能力の一つです。
また
- 事実なのか感想なのか?
- 事実の情報源はどこなのか?
- 具体性や再現性はあるのか?
- 情報発信者の立場は?
情報を処理するためには、こうしたことも考え判断する必要があります。
ただし、こうやって日常から頭を使っていれば脳の前帯状皮質(長い文章を理解するなど、深い思考を司る領域)は進化します。
自分で考える力がつき、メディアの情報の偏りに気づき、自分にとって本当に関係がある情報なのか見極める力がついてきます。
逆に言うとニュースの情報を処理してばかりの人はこういったことができなくなりますし、できないのです。
メリット5:時間とお金の節約
冒頭で紹介したこちらの記事で書いたのですが、僕はスマホ時間を減らすために、自分がスマホを何に使っているのか調べてみたことがあります。
分かったことは平均して毎日1時間程度、LINEとGoogle Chromeに時間を使っていたこと。自分の行動パターンを改めて調べてみて、スマホ時間を増やしている主犯はLINEニュースとGoogleニュースだと分かりました。
LINEニュースを見られなくして、さらにはGoogle Chromeのアプリを削除したことで時間ができ、空き時間をこのブログの執筆時間に充てています。
テレビでニュースを見ている人なら、ニュース断ちすることでもっと多くの時間を節約できるかもしれません。
テレビで知りたい情報を手に入れようとすると、興味のないニュースやCM、ニュースキャスターのトークも見ざるをえない場合があるからです。
時間だけでなく、お金も節約できます。
テレビや新聞のニュースはもちろん、オンラインのニュースにだって広告が掲載されています。
特にオンラインの場合は、閲覧者のWeb上の行動から趣味趣向を判断して、購買意欲をかき立てる広告を出してきます。
ニュース断ちすると広告に触れる機会が減るため、無駄な買い物をすることが減ります。
さいごに:ニュースには中毒性がある
この記事ではニュースを見ないことによるメリットをお伝えしてきました。
ここまで読んで「よし!ニュース断ちするぞ!」と思ってくださっているのなら、この記事を書いた甲斐があるというものですが、取りかかる前に知っておいて頂きたいことがあります。
それはニュースには依存性があるということです。
メリット1で「ネガティビティ・バイアス」について書きました。人間には生存可能性を高めるためにネガティブな情報を重視する性質があり、進化の過程でそうした情報を手に入れることが快感と結びつくようになっています。
つまり僕たちは、ネガティブな情報を知りたくなるようになっているんですね。
とはいえ、ニュース断ちをした初日から、ニュースを見たくて手が震えるなんてことはありません。なんとなく物足りないとかソワソワするとか、そんな程度です。
そんな程度ではありますが、パッと苦労もなくやめることは難しいことを知っておくだけでも、挫折を防ぐのに役立ちます。
『News Diet』の著者は、最初の1週間が一番ツライとしています。「30日過ぎたら、ニュースを読んでもいい」と言い聞かせながらニュース断ちしたところ、「30日という期間は、ニュースを読まなくても自分の生活に影響がないことを実感するには十分な時間」と気付いたとのこと。
ニュース断ちはそんなに簡単にはいかないけど、そんなに困難なことではありません。まずはこの著者と同様、30日間トライしてみてはいかがでしょうか?
人生変わりますよ。少なくとも僕は変わりました。スマホでニュースをみていた1時間を使って、いまこうしてブログを書いています。
1日1時間って月30時間、年360時間です。360時間あれば、時間がないと思っていて諦めていたことの一つや二つ、できそうじゃないですか?
もしニュースをやめてみて必要性を感じれば、また見たっていいのですから。なにも失うものはありません。
コメント
勉強になりました。記事に書かれた内容を実践に移してみます。