髪をお湯だけで洗う湯シャン。
中年男が湯シャンをしても、ニオイやベタつきは大丈夫なのでしょうか?
僕は現在41歳。かなりの汗かきです。毎日のランニングのあとには汗のニオイが気になります。自分で言うことでもないですが、体臭がある方です。
そんな僕が33歳から湯シャンを開始して8年が経過しました。もはや湯シャンは特別なことではなくなり、シャンプーは2か月に1回のヘアカット時にしかしていません。
湯シャンをはじめたきっかけは断捨離にハマったことから。断捨離の対象に、モノだけではなく日々の行動も含めたのです。
僕にとって湯シャンは、身につけて良かった習慣のうちの一つです。確かに慣れるまではいくつかデメリットを感じたこともありましたが、今では全くありません。
この記事では、中年男が気になるであろう湯シャンによるニオイやベタつきについて、そして湯シャンを実践するポイントについて説明します。
湯シャンにすると、ニオイやベタつきはむしろ改善される
結論から言います。
湯シャンでニオイやベタつきはむしろ改善されます。たとえ中年男であっても、です。
なぜシャンプーを使うよりも湯シャンの方がニオイやベタつきが改善されるのか?理由を簡単に説明します。
ニオイやベタつきの主な原因は、頭皮の皮脂にあります。
シャンプーを使うと皮脂が減ると思うかもしれませんが、実際は逆。シャンプーを使うと確かにその瞬間は皮脂は取れますが、結果として皮脂量が増えます。
仕組みは次の通り。頭皮にはある程度の皮脂は必要なのですが、シャンプーをすることで必要な分の皮脂も失われてしまいます。そうなると、皮脂を分泌する皮脂腺は失った分を取り戻そうとして大量の皮脂を分泌するようになります。
*専門的な裏付けが欲しい方は『シャンプーをやめると、髪が増える』(著者:宇津木 龍一)を参照してみてください。
シャンプー後には皮脂腺が大量の皮脂を分泌するので、数時間後には頭皮に大量の皮脂がある状態になります。朝シャワーを浴びても、夕方頃にはベタついたりニオイがしたりします。
逆にシャンプーを使わなければ皮脂が大量に分泌されることはありません。皮脂量が減るので、結果としてニオイやベタつきが改善されます。そして中年男の代名詞である「脂ギッシュ」と「加齢臭」からおさらばできるのです。
湯シャンを実践する前に知っておくべきこと
「脂ギッシュ」と「加齢臭」からおさらばできるのであれば、「今日から早速やってみよう!」となるかもしれませんが、ちょっと待ってください。
チャレンジ精神はとっても大事ですが、今日からガンガン湯シャンにしてしまうと、おそらく失敗します。
「脂でベタベタ、ニオイもするぞ、嘘つきめ」となって欲しくないので、湯シャンを実践するにあたって、あらかじめ次の2点を知っておいてください。
皮脂量は徐々に減っていく
前述したとおり、シャンプーを使うとその瞬間は皮脂が取れます。問題は取れ過ぎてしまうことです。
取れ過ぎて頭皮に皮脂が不足すると、不足分を補うために皮脂腺が皮脂を分泌します。今までずっとシャンプーをしてきた人の皮脂腺は、大量に皮脂を分泌する必要があるために過剰に発達しています。
この過剰に発達した皮脂腺が小さくなる(本来の大きさになる)には、ある程度の時間がかかるのです。人にもよりますが、湯シャンをはじめて3週間程度で小さくなりはじめ、遅ければ4~5か月程度で通常の状態になるようです(上で紹介した『シャンプーをやめると、髪が増える』参照)。
皮脂腺が小さくなるのにある程度の時間がかかるということは、皮脂量はいきなりではなく徐々に減っていく、ということを意味します。この期間のベタつきやニオイをどうするかが、湯シャンの成否を分けるポイントになります。
匂いや髪の触り心地は、シャンプー後と湯シャン後では違う
もう一つ知っておいてほしいことがあります。
湯シャン後の髪のニオイや触り心地は、シャンプーをしたあとと同じようにはならないということです。
当たり前ですが、湯シャンにすると髪の毛からシャンプーの香りはしません。でも無臭でもありません。また触り心地も違います。湯シャンをした後の髪は、シャンプーをした後のキュキュっとなる感じはしません。
ニオイの主な原因は頭皮の皮脂と書きました。厳密にいうと酸化した皮脂(つまり腐った皮脂)です。シャンプーによって皮脂が大量に分泌され、それが酸化して頭皮に残るとニオイがします。
この腐った皮脂は、シャンプーを使わなくても水で流せます。そして水だけを使いシャンプーを使わなければ、頭皮が必要とする皮脂(酸化が進んでいない皮脂)は失われずに残ります。
この酸化が進んでいない皮脂は、頭皮や髪を守る役目があります。皮脂なので近づいて嗅げば匂いがします。ただ、シャンプーによって大量に分泌され酸化した皮脂とは別物なので、決して不快なものではありません。また、加齢臭と言われるものとも違います。
ちなみに妻(同じく41歳)も湯シャンをしていて定期的にニオイを確認しあっていますが(笑)、近づいて嗅いでも臭さは感じません。
例として適切かどうか分かりませんが、人の家にお邪魔したときの匂いに似ています。決して無臭ではなく生活の匂いがしますが、不快ではありません。
そしてこの頭皮や髪を守るための皮脂によって、髪は適度に潤います。大量に分泌されてはいないのでベタつくことはありません。見た感じも、黒髪の人なら濡羽色のようになります。
つまり湯シャン後の髪と頭皮の状態は、シャンプー後の状態と違います。もしシャンプー後の状態が「清潔」という認識でいると、湯シャンではそうはなりません。
生き物に匂いがないのは変だし不快じゃなければいいじゃないか、そのくらいに考えておかないと、湯シャンに満足することはないように思います。
この2つのこと、「皮脂量はいきなりではなく徐々に減っていく」「ニオイやベタつきはシャンプーをしたあとと同じようにはならない」をおさえたうえで、湯シャンを始めてほしいと思います。
中年男が湯シャンを実践するポイントは「徐々に」
僕は一度、いきなり湯シャンをはじめて失敗したことがあります。
思い立った日にシャンプーを使わずお湯シャワーで頭皮をゴシゴシ。だがイマイチさっぱりした感じがせず。翌朝の枕の臭いがきつい。昼間に妻から「なんか臭い」の一言・・・
この原因は、上で説明した過剰に発達した皮脂腺が、普段通りに大量の皮脂を分泌していたからです。
僕のような失敗を避けるため、これから湯シャンをはじめる人は、次のように徐々に慣らしていくことをオススメします。
1回に使うシャンプーの量を減らす
たとえば、今までシャンプーする際にポンプを2プッシュしていた場合は1プッシュに、1プッシュだった場合は半プッシュにするなど。これだけでも必要以上に取れる皮脂量は、今まで以上に減ります。
慣れてきたらさらに少なくして、最終的にはゼロにしましょう。
シャンプーの頻度を減らす
シャンプーを使うのを1日置きにしたり、土日だけシャンプーを使わないなど。
ちなみに僕の場合、当時は土日休みのサラリーマンだったので、湯シャンに移行し始めてしばらくの間は、平日はシャンプーの量を減らし金土は湯シャン、というやり方をしていました。
少し熱めのシャワーで湯シャンする
あまり熱いと皮脂が取れすぎてしまって、せっかくの湯シャンの効果が半減してしまいますが。
ただ、シャンプーほど皮脂が取れてしまうわけではないので、ベタつきやニオイが気になる移行期は少し熱めでもいいと思います。
湯シャンに慣れてきたら少しずつ水温を下げていきましょう。ちなみにシャワーの水温は季節によりまうすが、ぬるめの水温がいいです。
僕は夏だと38~39℃、冬でも41℃程度で湯シャンしています。
1日2回湯シャンする
仕事や生活のスタイルが許すのであれば、朝と晩など1日2回湯シャンをしてみてもいいかもしれません。
ちなみに僕の妻は、年末年始休暇のタイミングでシャンプーをやめて1日2回の湯シャンにトライし、一回で成功させていました。
このように長期休暇を利用するのも、人目人鼻が気にならなくていいと思います。
我慢できなくなったらシャンプーを使う
シャンプーは絶対に使わない!などと意気込まずに、どうしても我慢できない日があったらシャンプーを使ってください。
意気込んで我慢が続くと挫折します。挫折してシャンプーを使う日々に戻ってしまえば、また皮脂腺は元通りになってしまいます。
日々のシャンプーの量が減っていれば、1日くらい使ったって問題ないです。我慢できる範囲で徐々に移行してください。
継続が大切です!
そのほかに気を付けるべきポイント
整髪料はなるべく使わない
中年男なら日常的に整髪料をつけている人もいると思います。
湯シャンにした場合はなるべく整髪料は使わない方がいいです。整髪料には油分が多く含まれているからです。
ちなみにオーガニックの整髪料だとしても、使わないに越したことはありません。オーガニックと言っても油分を含んでいますので。
(ちなみに、「オーガニック」と謳っているからといって、身体や環境に配慮しているものとは限りません。実は日本の場合、有機栽培の農産物を一つでも原料に使えばもれなくオーガニックと名乗れちゃうんです。このことはもちろん、オーガニックシャンプーにも当てはまります)
どうしても整髪料を使う必要がある場合は、なるべく頭皮につかないように少量だけ使ってください。そして、その夜の湯シャンは少し水温を高めにして洗い流すようにします。
とはいえ実際には、よほどのセット力が求められる髪型にしない限り、整髪料は必要なくなります。
上でも書きましたが、湯シャンだと必要量の皮脂は頭皮に残ります。これは頭皮や髪を守るためのもので、これが「天然の整髪料」として髪をコーティングするようになるんです。髪は適度に潤い、そしてベタつきません。
僕の髪の長さは5cm程度のショートですが、「天然の整髪料」を使って撫でつけると髪が立ち上がります。髪にはもともと、整髪料がそなわっていることを知ったのでした。
余談:美容師さんから聞いた話ですが、髪のセットはドライヤーで8割が決まるそうです。ドライヤーで整えた髪型をキープするのに整髪料は使います。ドライヤーで作れなかった髪型を整髪料で作ることは相当無理があるとのこと。 湯シャンに移行するのであれば、ドライヤー+「天然の整髪料」で髪型をセットし、実際の整髪料はやめてみるのもいいかもしれません。
フケやかゆみについて
僕も妻もフケには特に悩まされなかったのですが、ネット上では湯シャンをきっかけにフケやかゆみに悩むようになった人もいるようです。
体験からは語れませんが、上で紹介した『シャンプーをやめると、髪が増える』に書いてある説明をまとめると、どうやら湯シャンにすることでフケの量は適量になるようです。
適量とはどういうことかというと、もともとフケが多めに出ていた人に関しては、湯シャンによってフケの量が減ったように感じるし、その逆も言えるということです。
その仕組みは次の通り。シャンプーによって頭皮にダメージが加わります。ダメージを回復させようと過剰に細胞分裂を繰り返すので、大量のフケが発生します。湯シャンにすると細胞分裂が通常に戻るため、フケの量が減ったように感じます。
シャンプーのダメージによって代謝がさえぎられていて、逆にフケが出ていなかった場合。湯シャンによって、頭皮が健康になって代謝が活性化し、今までよりはフケが出るようになります。
つまり湯シャン歴8年の僕のフケも「適量」ということになりますが、もしそうであれば、まったく気にならない程度の量です。少なくとも僕は自分のフケに気付いていません。
もし湯シャンを始めて肩が白くなるくらいのフケが出るようであれば、それはトラブルを招いている可能性もあるらしいので、皮膚科に行ってみてください。
もう一つ、かゆみについて。
かゆみの原因はニオイやベタつきと同じく、酸化した大量の皮脂です。僕は悩まされたことはないですが、妻はたまにかゆみがあると言っていました(今はないようです)。
そんなときは、湯船につかって十分に身体を(頭皮を?)温めてから湯シャンをしていたそうです。そうするとかゆみがなくなったとのこと。
おそらく温まったことで脂分がやわらかくなって、酸化した皮脂が落ちやすくなったのだと思います。
周囲の理解を期待しない
僕が湯シャンを始めた頃より、多少は市民権を得てきているように思いますが、それでも周りで「湯シャンをやっている」と言う人を聞いたことがありません。少なくとも僕の周りには、妻以外誰もいません。
8年前、湯シャンを始めたことを知人に話したとき、怪しい人(不潔な人?)を見るような目で驚かれたことを今でも覚えています。
その時にはすでに、シャンプーをしていたときよりもベタつきやニオイは改善していたので(実感もあったし、妻に確認もしていました)、その知人は実際に僕が不潔かどうかよりも「シャンプーを使っていない=不潔」という発想で僕を見たのでしょう。
多くの人がやっていること/普通だと思っていることをやめて、多くの人がやっていないこと/普通だと思っていないことをやると、ある程度のヘンな目で見られてしまうのは仕方がないようです。
そもそも僕だって湯シャンをはじめる前は、シャンプーを使うのが常識だと思っていましたし。
まぁ誰かに認められたくて湯シャンをはじめたわけではないんですがね。
その知人の反応はもしかしたら、僕が心のどこかで湯シャンを100%信じていなかったことを投影したものだったかもしれないです。
他人に理解してもらうよりもむしろ、自分の生活をなにかしら変えたくて、興味があることを自分で調べて、実践して、失敗して、試行錯誤して、自分の生活に変化をもたらす。このプロセスを経たことに価値があると思っています。
こう考えると、周りに湯シャンをやっている人がいないのではなくて、湯シャンをやっていると公言している人がいないだけなのかもしれませんね。
ということで、湯シャンを公言することによるメリットは今まで特に感じたことはないです。湯シャンによるメリットはあるけれど。
湯シャンにして一番良かったこと
この記事をご覧になっているということは、すでに湯シャンのメリットはご存じだと思います。
薄毛や抜け毛、頭皮のトラブル、肌荒れなどの解決に湯シャンは一役買うし、僕もその効果を実感しています。
ただ、僕が湯シャンにして一番良かったと思うことは、こうしたことの他にあります。
それはやることが減ったことです。
「シャンプーをしない」のはもちろんですが、「シャンプーを買う」「どんなシャンプーがいいか調べる」もそうですし、僕は湯シャンにして肌荒れが治ったので、「保湿クリームを買う/調べる」もやらなくて済むようになりました。
大したことないように聞こえるかもしれません。
ですが僕はシャンプーが好きでしていたのではなく、しなければならないものだと思っていて仕方なくやっていたことなので、シャンプーを買うという行為一つとっても、なんだかんだ考えて面倒くさかったのです。
「シャンプーそろそろ買わなきゃな…」
「今使ってるのイマイチだし、次は何にすればいいだろう」
「これは肌にやさしいシャンプーか?」
「新製品っていうけど、何が違うの?」
「他と比べて高い(安い)のはなぜ?」
湯シャンにすることで、こうしたことを二度と考えなくて済むようになりました。想像以上にストレスが減ったし、もちろんお金と時間の節約にもなります。
1つでもやらなければならないことが減ると、気持ちが軽くなるもんです。
さいごに
冒頭にも書きましたが、僕は体臭がある方だという自覚があるし、汗かきです。湯シャンをはじめた当時はタバコも吸っていたし、お酒も好きで毎日飲んでいました。
それでも湯シャンを試行錯誤しながら続けて、ニオイやベタつきは1か月程度で気にならなくなりました。
最初の1か月間は、髪や頭皮の匂いと感触に違和感がありました。30年以上もシャンプーを使ってきたのだから当然ですね。けれど他人も問題ないと言っていたし、この違和感も不快なものではないので、すぐに慣れました。
繰り返しになりますが、1つでもやらなければならないことが減ると、気持ちが軽くなります。
僕はこの気持ちの軽さに病みつきになり、それから顔や体もお湯だけで洗うようになりました。
そしてタバコをやめ、毎日の晩酌をやめ、テレビを捨て、夜更かしをやめ…、自分にとって必要のないことをどんどんと手放し、身も心も軽い生活を送っています。
このあたりのことも、今後記事にしていく予定です。
あらためて湯シャンのコツは、徐々に、意気込まずに。
「シャンプーを使わなかったら、どんな感じになるんだろう」くらいの軽い気持ちではじめてみてください。思うようにならなかったとしても、別に失うものはないです。
うまくいけば今後の人生で、頭皮のベタつきとニオイから、そしてシャンプー(リンスやコンディショナーも)から無縁の生活を送れます。
試してみる価値はないでしょうか?
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